GHの重度化対応をどう考えるか?

高齢者住宅でも重度化対応が徐々に問題になってきています。

GHの重度化対応をどう考えるか?

11月14日に開催された介護給付費分科会では、「認知症への対応に向けた方向性」と、認知症ケアにおいて重要な役割を担う「認知症対応型共同生活介護(GH)の基準・報酬」についての議論が行なわれました。

GHの基準・報酬について掲げられた論点を見ると、長年の懸案となっていた「2ユニット1人夜勤の見直し」や「夜間ケア体制のさらなる強化」、そして「入居者の重度化にともなう対応」が主な論点となっています。資料では、業界団体である日本認知症グループホーム協会からの要望書が大きく取り上げられており、国としてもGHのあり方についてかなり重きを置いていると見ていいでしょう。

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ただし、「入居者の重度化」への具体的な対応策については、全体的な認知症ケアの流れにも絡み、今後大きな議論となる可能性もあります。例えば、GHについて「フラット型となっている現行の介護度別の基本報酬の見直し」を掲げ、要介護度の軽重によって報酬格差を広げることが示唆されています。また、「看取り介護加算」について「最期の日が近いほど手厚い評価を行なう」という見直しの方向性も示されています。

確かに、GH利用者の重度化が進んでいることは間違いなく、介護職による医行為が解禁になるとはいえ、一定以上の療養ケアが必要になると「退所→老健などの施設」という状況が目だっています。また、「特養への入所待ち機関」の性格を帯びているGHも増えており、終の住処としてのGHのあり方が揺れ動きつつある傾向も見てとれます。

しかしながら、GHが一気に重度者対応へ傾くという流れが生じた場合、地域の認知症ケア全体のあり方と照らして若干の違和感も生じてきます。分科会資料における「認知症への対応にかかる課題」を見ると、「認知症の早期診断とそれに基づく初期対応のための体制の確保が不十分ではないか」と述べられています。認知症においては、適切な初期対応が周辺症状の悪化を防ぎ、本人の不安感を和らげる中で「生活意欲の維持→身体面等の重度化も防ぐ」という効果が認められています。

ところが、初期対応の方向性となると、専門医療の提供などが示されているだけで、医療・介護の連携強化は掲げられているものの、GHなど地域の介護サービス基盤ができることの具体的記述はほとんどありません。例えば、GHには「初期加算」が設けられていますが、この加算が果たしてきた役割などをもう少し掘り下げるべきではないでしょうか。

GHでは、共用型認知症対応型デイが平成18年度から実施されていますが、ここでも有効な初期対応がその後の「穏やかな生活」と「本人のできることの維持」を培ってきた実績があります。このあたりの検証を十分行なわないと、GHそのものが「重度者対応」に傾いてしまう流れが、地域資源としての位置づけそのものを変えてしまう懸念もあります。

このあたりの課題は、居宅のケアマネにとっても重要です。在宅で暮らす認知症利用者を担当した場合、初期段階で医療・介護等の地域資源にどうつないで周辺症状の悪化などを防いでいくか──そこでは高度なマネジメントが求められます。居住系サービスということで、なかなか居宅ケアマネと付き合いのないGHでも、共用型デイやショートの活用を通じて、認知症ケアの流れについての有効なアドバイザーとなるケースも増えてくるでしょう。GHという資源をどういう方向で発展させていけばいいのか。居宅ケアマネ側も真剣に考えていく必要があります。

(福祉ジャーナリスト 田中 元)

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